自己破産

 自己破産とは、自己の財産をほとんど処分されることを引き換えに、借金全額の支払い義務を免れる裁判上の手続きのことです。

 業者や個人から借りたお金を返すことができなくなったとき、債務者は、裁判所に対して自己破産手続きの申立てをすることができます。

 自己破産には、メリットとデメリットが複数あるため、詳しく説明します。

 

・メリット

①借金が全額なくなる

 自己破産を利用する上で最大のメリットは、借金が全てなくなることでしょう。新しく生活をスタートしたいという方には最良の制度です。

②借金の取り立てがなくなる

 自己破産などの債務整理を弁護士へ依頼した場合、弁護士から業者へ受任通知が送られることとなり、それ以降は債務者に対して直接借金の取り立てをすることができなくなります。そのため、弁護士への依頼によって、まず平穏を取り戻すことができます。

 

・デメリット

①クレジットカードが一定期間発行されない

 自己破産などの債務整理制度を利用した人は、経済的な信用力が低下し、信用会社の「ブラックリスト」に登録されます。信用会社によりますが、最長では10年間クレジットカードを発行できず、ローンを組むこともできなくなります。

②自己の財産がほぼ全てなくなる

 自己破産を利用した際には、マイホームや自動車等の換金できる財産は、ほぼ全て処分され、債権者へ配当されます。本人の手元に残る金銭は、最大99万円の現金のみであるため、生活環境が大きく変わることになります。そのため、生活環境を変えたくない事情がある場合、自己破産の選択は慎重にすべきです。

 ③一部の人だけ除外できない

 親族や友人からも借り入れをしている場合、迷惑をかけたくない(この人だけには返済したい)と思うことがあります。しかし、自己破産では、一部の債権者だけ除外することはできないのです。

 また、親族や友人に連帯保証人になってもらった場合、本人が破産すると連帯保証人が債務を負うことになりますので、検討が必要です。

 以上が、自己破産におけるメリットと、代表的なデメリットです。

 次に、自己破産の手続きの流れについて説明します。

 

①裁判所へ申立て

 債務者本人あるいは債権者が、裁判所に対して、破産手続開始の申立てを行います。

 申立て書類は複雑なので、弁護士へ依頼して作成してもらった方が無難です。弁護士費用は、これまで借金返済に回していたお金を毎月積み立てたり、条件によっては法テラスを利用することで賄えます。

 

②破産手続開始の決定

 裁判所は、債務の内容を詳細に調査し、「支払不能」と判断した場合、破産手続開始の決定を出します。この後の手続きは、債務者に金銭に換えることができる財産があるか否か、債務の原因に問題点がないかなどによって分かれます。

 

〜債務者に財産がある場合〜

 裁判所が選任する破産管財人が、手続きの期間中は、債務者の財産を管理し、換価処分します。債務者は、破産管財人と面談し、事情を説明したり、資料を提供したりして、協力する義務を負います。換価処分した財産を債権者へ配当すると、破産手続は完了となります。

 なお、破産管財人が選任される場合、そのための費用(20万円程度)が別途必要となります。

 

〜債務者に財産がない場合〜

 財産がないことが明らかなときは、破産手続開始決定をすると同時に、破産管財人を選ばないで破産の手続を終わらせるという「同時廃止」の決定が出ます。

 

 以上が、自己破産手続きですが、債務義務を免れるためには、別途、免責許可を得る必要があります。免責は基本的に許可されますが、

・債権者を害する目的で、財産の価値を不当に減少させる行為や財産の隠匿をした場合

・浪費または賭博行為によって自分の財産を減少させた場合

などの事情(免責不許可事由)がある場合には、免責されないことがあります。

 もっとも、破産手続きに至った経緯などを考慮して、免責不許可事由が存在する場合であっても、裁判所の判断(裁量)によって免責許可されることもあります。

 

 このように、自己破産の手続きは、準備段階、申立段階、破産管財人との連絡、免責許可の判断など複雑で専門的な知識経験が必要となるため、弁護士へ相談されることをお勧めします。

 

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