債権回収

「取引先に売掛金があるが、支払いが滞っている。倒産するのではないかという話もでており、支払いを受けられるか不安だ。」

「契約書を作らずに内装工事を請け負ったが、口約束で決めた代金を払ってくれない。」

 このページでは、取引先からの債権回収について、説明します。

 

■債権回収の方法

①任意の方法

 取引先から代金が未払いだったり、支払いが滞ったりした場合には、まず任意に支払うよう催促するのが一般的です。

 催促してもなかなか対応してもらえない場合には、取引先と摩擦が生じることを覚悟し、強い態度で臨むべきです。なぜなら、支払いが遅れている場合、他にも債権者がいることが多いので、大人しくしていると、いつまで経っても後回しにされてしまうからです。そこで、内容証明郵便や弁護士からの請求書などで「本気度」を示すことで、優先的に支払ってもらうようにすべきです。

 

②法的手段

 内容証明郵便を送っても支払う気配が見られない場合、法的手続きを検討することになります。

 簡易裁判所へ申立てる「支払い督促」は、弁護士に依頼しなくても利用できる簡易な制度ですが、相手が異議を出すと本裁判に移行するので、異議を出されること(時間稼ぎをされること)が予想される場合、時間の無駄になってしまいます。

 民事調停は、話し合いを裁判所が仲介する制度で、弁護士に依頼しなくても利用できますが、相手が合意しないと成立しないので、相手が誠実に対応しないことが予想される場合、やはり時間の無駄になってしまいます。

 民事裁判は、相手が出頭しなかったり、相手が不合理な言い訳をして時間稼ぎをした場合でも、証拠が揃っていれば、請求が認められます。ただし、様々な法律的手続きが必要となるので、弁護士に依頼した方が無難です。

 

■債権回収の注意点

①時効に注意

 契約書も存在し、仕事も完了しており、法律的には代金を請求する権利があることが明白であっても、未払い債権を長期間放置しておくと、時効によって債権が消滅してしまうので、注意が必要です。企業間の取引では、時効は原則5年ですが、民法改正(令和2年4月1日施行)以前に成立した債権では、特殊な取引では時効が3年~1年に短縮される場合があります。

 一方、仮に5年を経過していても、その後に支払いを認める言動(債務の承認)をした場合は、時効の主張は認められません。また、催告によって時効完成が6カ月間延長されますので、時効が完成しそうな場合、まず内容証明郵便を出して、時効完成を阻止しておいて、その間に裁判を起こすことが出来ます。

 このように、未回収の債権がある場合、定期的に弁護士に相談して、時効にかかっていないかどうかチェックすることをおすすめします。

 

②回収可能性の問題

 裁判を起こして勝訴したとしても、裁判所がサービスとして相手からお金を取り立ててくれるわけではありません。こちら側で相手の財産を探し出して、別途、裁判所に対して強制執行(差押え)を申し立てる必要があります。

 ところが、相手の財産を探し出すことは簡単ではありません。弁護士であれば、財産調査のノウハウを有していますが、完全ではありません。また、くまなく財産を調査しても、本当に財産が存在しないこともあります。

 そのような場合、せっかく時間と費用をかけて裁判を起こしたのに、回収不能となってしまうのです。

 そのため、債権回収の場面では、回収可能性と費用対効果を慎重に検討する必要があり、弁護士は、その観点からアドバイスを行います。

 

 中野すずらん法律事務所は、中野区、杉並区、練馬区、西東京市を中心に、東京都、埼玉県、神奈川県、千葉県にお住まいの方を対象に、債権回収や顧問契約など中小企業に関する法律問題を幅広く取り扱っております。中小企業の企業法務に関する問題でお悩みの方は、中野すずらん法律事務所までどうぞお気軽にご相談ください。

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