【弁護士が解説】自己破産手続きの具体的な流れとメリット・デメリット
はじめに
収入の減少や病気などによって生活が苦しくなり、借金の返済ができなくなった場合、裁判所から借金の支払いを免除してもらう公的な手続きの1つに自己破産というものがあります。
自己破産は借金(債務)を免除してもらう点、メリットが大きい措置のようにも思えますが、デメリットも伴います。
また、誰でも簡単に利用できるわけではなく、一定の要件の下、手続きを踏まなければいけません。
このページでは、自己破産の手続きの流れ、メリットやデメリットについてご紹介します。
自己破産の流れ
1.破産の申立て
破産の申立ては、複数の必要書類を揃え、申立書に様々な事項を記入した上で行います。
この書類には職歴、財産状況、破産するに至った事情等が記載されます。
これらの準備は簡単ではないため、弁護士に依頼することが多いです(準備には数か月かかります)。
2.破産審尋
破産手続開始の要件を満たしているか確認するため、裁判所からの質問に対して事情を説明するよう求められることがあります。ただし、裁判所によっては、書類審査だけの場合、弁護士が裁判官と面談や電話で協議するだけの場合もあります。
3.破産開始決定
破産手続開始の要件を満たしていると判断された場合、裁判所から破産開始決定がなされます。この際、同時廃止事件、管財事件、少額管財事件に割り振られます。
同時廃止事件とは、債務者に配当すべき財産がないため、これ以上の調査や財産の管理を必要としない場合の事件のことをいいます。後述する管財事件と異なり、破産管財人が選任されません。
管財事件とは、債務者に財産がある場合で、財産の調査、管理、換価処分を必要とする事件のことをいいます。また、めぼしい財産がない場合であっても、FXで借金を増やしたなど債務原因を調査する必要があるときも、管財事件となることがあります。
この事件の場合には、破産管財人(多くは弁護士)が選任されます。
(4.債権者集会)
管財事件においては、破産管財人が債務者本人と打ち合わせをしながら、債権者に配当を行うために、資産を管理、換価していきます。
そして、債権者集会を開き、配当に立てることができる資産についての報告を行います。
5.免責審尋
次に、免責(借金を返さなくて良いという公的なお墨付き)を受けるために、裁判官と免責審尋を行い、書類に誤りがないかを確認したり、破産すると原則7年間は再び破産できないことを理解しているかなどの確認行います。
6.免責決定
以上について問題がなければ、裁判所から借金を免除する旨の免責決定がなされます(申立てから免責決定まで数か月かかります)。
自己破産のメリット
自己破産の最大のメリットは、債務を帳消しにできる点(免責)にあります。
また、免責決定が出るまでには数か月かかりますが、破産手続を申し立てて破産開始決定が出ると、債権者は取り立てや督促を行うことができなくなります。
なお、自己破産してもあらゆる財産を没収されるわけではなく、生活に必要な財産を残しながら再出発することができます。
自己破産のデメリット
自己破産を行ったという情報はJICCやCICといった信用情報機関に残るため、しばらくクレジットカードやキャッシングカードの利用ができなくなります(いわゆるブラックリストに載ることになります)。また、同様に住宅ローンも組むことができなくなります。
加えて、自己破産の情報は官報に掲載されます。
ただし、官報は一般に購読している人は極めて少ないため、実質的な不利益は小さいといえますが、税務署など特殊な人達は読む可能性があります。
また、上述のとおり自己破産が終了しても生活に必要な財産は残りますが、逆にいうとそれ以外の財産は没収されてしまいます。
例えば、20万円以上の価値のある財産や、99万円以上の現金は没収されることになります。
なお、自己破産をしても、保証人の債務も自動的に一緒に消えるわけではありません。
そのため、保証人に迷惑をかけたくない場合、注意が必要です。
最後に、自己破産の手続きが進んでいる最中は、ある一定の職業(警備員、生命保険外交員、公認会計士など他人の財産や機密を扱う職業)が制限されます。
ただし、自己破産手続きが終了すると、この職業制限は解除されます。
まとめ
以上のように、自己破産には一定の手続きを要し、免責決定を得るまでには時間がかかります。
また、メリットがある一方でデメリットもあるため、自身にとって何が適切か、判断することが重要といえます。
その際には、専門家である弁護士に相談することで、適切な助言を受けることができます。
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